病院の今日

10月31日土曜日の診察時間です。年中無休で平日夜20時まで診察しております。静岡市清水区の動物病院、みなとまちアニマルクリニックです。

こんばんは。大山です。

10月31日 土曜日の診察時間です。

午前の診察は 9時30分 から 12時 まで

午後は診察は 14時 から 18時 までとなります。

よろしくお願いいたします。

 

今日は少し学術的な内容に踏み込んでみようかと思います。

テーマは慢性腎臓病に対する食事療法についてです。

 

よく目にするのが

BUNやCREといった、いわゆる腎数値が高いから腎臓病用療法食を始めます、という場面です。

療法食というものは

基本的には病気に対する治療として処方するものであるため

病院で処方する薬と同じもののようにとらえていただく方がいいと思います。

ですので、正しい使い方をすれば治療効果が得られますが

間違った使い方をすれば危険を伴うこともあります。

 

簡単に言うと

適切な時期に腎臓病療法食をスタートしましょう。

ということです。

 

さらに具体的な話をしていきますと

腎臓病用療法食というものは低タンパク、低リンを基本的な考え方として作られています。

これにより病態悪化を招く、リンの上昇を抑えようというコンセプトですね。

ただし、スタートが早すぎるのもダメなわけです。

 

慢性腎臓病の早期における腎臓病療法食の開始の懸念事項としては以下のようなものが挙げられます。

①低リン食による高カルシウム血症(猫の特発性高カルシウム血症の発現や悪化、尿石症との関連性も示唆)

②低リン食によって、もたらされた低リン血症による慢性腎臓病の悪化(人においては報告があります)。

③早期のタンパク質制限による体重や筋肉量の低下(痩せることは慢性腎臓病の予後悪化と関連します。

 

これらのことからも

療法食の効果を最大限に活かすためには、開始時期の指標が求められています。

結局いつスタートするのがいいの?ということですね。

 

これに関して

今まで多くの場合は、慢性腎臓病のわんちゃんやねこちゃんについて

高リン血症があるかどうかによって

療法食を始めるかどうかが検討されてきました。(僕もそのようにしておりました)。

高リン血症というもの自体が慢性腎臓病を予後増悪因子とされていますので、これをどうにか食い止めたいわけですね。

なので、高リン血症がない子については腎臓病用療法食の適応にはならなかったのです。

 

 

で、今日の本題はここからになります。(前置きが長いな)

今月の半ばに 富士フィルムVETシステムズさんが

新しい外注検査項目をリリースしました。

FGF23(線維芽細胞増殖因子23)』という血液検査の項目です。

名前だけ聞いても、なんぞや?となるだけなので解説しますね。

 

FGF23というのは、骨から作られるホルモンで

腎臓の尿細管でリンの再吸収の抑制とビタミンDの合成を抑制することによって

血液中のリン濃度を低下させる働きがあるとされています。

特に慢性腎臓病の症例では、血液中のリンの濃度上昇が起ころうとしますので

これを代償するためにFGF23の濃度が上昇するとされています。

 

慢性腎臓病における重要な合併症の一つとして、カルシウム・リンの代謝異常が挙げられます。

先ほどの前置きでも触れたとおり

高リン血症というものは慢性腎臓病の予後増悪因子であることがわかっているため

カルシウム・リンの管理というものは慢性腎臓病の治療において非常に重要なわけです。

ただ、血中リン濃度の上昇は慢性腎臓病の後期にならないと認められません。

なので、すでに代謝異常は始まっているのに

目に見えてリンが高くなってくるのはもう少し遅かったりするわけです。

 

そこで今回のFGF23の登場です。

このホルモンは血液中のリン濃度が上昇するよりも早く

血液中の濃度が上昇する可能性があることが示唆されました。

つまり、リンの濃度が上がるよりも前に

カルシウム・リンの代謝異常をキャッチできるということです。

そうすれば、腎臓病用療法食を始めるかどうかの基準に使えるかも?と思いませんか?

 

ここでやっと前置き部分と繋がったわけですが(本当に長かったな)

実際、ねこちゃんにおいて腎臓病用療法食の給餌によって

血液中のFGF23濃度の現象が報告されていますし

これは血中リン濃度上昇がない症例でも確認されています。

 

つまり、FGF23を測定することによって

早期の慢性腎臓病におけるリン制限食開始時期の指標となるだけでなく

食事療法の効果の判定もおこなえる可能性があるということです。

 

また、慢性腎臓病と診断された時点でのFGF23濃度が

生存期間中央値と関連するのではないか?という報告もあります。

予後因子としても有用かもしれないということですね。

 

以上がFGF23の概要になるわけですが

これだけ読んでると、めっちゃいい検査やん!となるわけですが

実際発見されてからまだ歴史の浅いホルモンにはなりますので

本当に有用かどうかの検討は検査してみないとわかりません。

 

ただ、療法食の開始時期がより適切に判断できれば

おそらく慢性腎臓病の症例の寿命は伸びると思います。

せっかくなので当院でも適応症例には積極的に検査を勧めていこうと思います。

 

今日は長文になってしまい

よくわからなかった人も多いと思うので

もし興味のある方は言っていただければ

病院で直接説明させていただきますので

ご気軽に聞いてみてください。

それでは。

10月31日土曜日の診察時間です。年中無休で平日夜20時まで診察しております。静岡市清水区の動物病院、みなとまちアニマルクリニックです。” への1件のフィードバック

  1. 大山先生、おはようございます。
    長文のブログ、お疲れさまでした。
    ウチはキャンディが慢性腎臓病になって約1年2カ月、療法食を開始して約1年の
    『バリバリ関心がある組』なので、ある程度の基礎知識はあるつもりですが、
    二度読みしてようやくなんとなく理解できる感じでした笑。

    キャンディは、先生方の熱心な治療に加え、療法食のおかげもあり、元気で頑張っています。
    超長寿化に伴い、ますます増加するであろうワンちゃん・にゃんちゃんの慢性腎臓病の
    治療に、FGF23(初めて目にしました~笑)の検査が役立つことを祈るばかりです。

    今後ともよろしくお願いいたします!

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