短頭種気道症候群について(短頭種の”いびき”について)

短頭種とは、文字通りマズルが短く”短い頭“を持つ犬種の事をさします。

チワワさん、フレンチブルドッグさん、パグさん、キャバリアさんなどがこれに当たります。

 

寝ている時や散歩している時にぶーぶー、グーグーといった音を鳴らしていませんか?

昔からあるからこれが普通・・・と思われる方もいらっしゃると思いますが、それは間違いです

短頭種気道症候群といって、年齢が経過するにつれて命に関わる病態に移行します。

そういった犬種をご家族に迎えている方は、以下をご一読下さい。

 

短頭種気道症候群は大きく一次的変化と二次的変化があります。

一次的変化は外鼻孔狭窄、軟口蓋過長、気管低形成、過剰な鼻甲介、相対的巨舌です。

顔の長さが標準的な犬種(ビーグルやダックスフンド)と比べ

短頭種は頭蓋骨が短いのですが、鼻や喉のお肉の大きさは変わらない為に、中が狭まります。

これにより、ガーガー“いびき”を鳴らし、常に苦しい状態となっています

 

時に陰圧性肺水腫や誤嚥性肺炎という肺に異常をきたす事もあり、より重篤となります。

また、努力して空気を吸うことにより逆流性食道炎などの胃腸の症状、中耳に滲出物が溜まるなど呼吸器以外にも影響を及ぼします

 

代表的な短頭種気道症候群の一次的変化を写真を用いて説明させていただきます。

 

↓こちらは外鼻孔狭窄の症例の写真です。([1]より一部改変)

空気の通り道である鼻の穴が小さいのが段階的に小さくなっていってるのがわかるかと思います。

 

↓こちらは軟口蓋過長症の犬のレントゲン写真です。([2]より引用)

厚さを計測している部位が軟口蓋である厚みが違うことがわかります。

 

異常な鼻甲介(鼻の奥の構造です。) [3]より一部改変

左:正常 右:短頭種

左のM矢印部位と右の矢印部位を比べると右側の短頭種の方が狭く

鼻甲介が後ろに長く伸びているのがわかります。

 

これらの写真でお示ししたものが

代表的な短頭種気道症候群の一次的変化になります。

 

特に問題となるのは、これらの一次的変化がずっと続いていることにより引き起こされる

二次的変化である咽頭虚脱や喉頭虚脱です。

いわゆる喉仏は軟骨でできていますが、上記の”いびき“が続く事により変形します

↓下の写真は正常な子と喉頭虚脱の子の喉頭の写真です。

左:正常喉頭 右:喉頭虚脱[4、5]より一部改変

喉頭虚脱の子は空気の通り道を塞いでしまっているのがわかるかと思います。

 

変形具合によっては手術で完全に元に戻すことは難しくなり

頚と気管に孔をあけ正常と異なる部位から呼吸をさせる「永久気管開口術」を選択せざる得なくなります。

 

こういった事を予防する為に

まだ二次的な変化が起こっていない段階で(病気が進む前に)

外鼻孔拡張、軟口蓋切除術を行う事をお勧めしております。

軟口蓋が厚めのわんちゃんに対しては、Fold Flap法という方法にて薄くする手術を行いますので、説明だけでも聞きたい方はお気軽にご相談ください。

 

1.Liu, N.‐C., Adams, V., Kalmar, L., Ladlow, J. and Sargan, D. (2016), Whole‐BodyBarometric Plethysmography Characterizes Upper Airway Obstruction in 3 Brachycephalic Breeds of Dogs. J Vet Intern Med, 30: 853-865. doi:10.1111/jvim.13933

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